古いものにさして頓着しているわけではないが、まちを歩いていて「お〜」とシャッターを切るものは、人が住み使い込んできた味の中に生きるシーンばかりである。なにもノスタルジックな思いに浸っているのではない。むしろ存在している逞しさに強い魅力を感じるからである。それは例えば観光地のメインストリートより少しわきに入った本当の生活の場にある。そこを歩いていると笑えたり、驚かされたり、「きっとこんなこと考えていたんだろうな〜」などと想像してみたりと、実に楽しい。まちにとって、建物にとって、そして暮らしにとって、何が大切なのかを思う一冊である。
*三崎 亜記著 集英社 2009
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