「希望の地図」
2012/05/12(Sat)
3・11から始まる物語である。内山 節は、「かつての農村の空間は誰もデザインしていないにもかかわらず、極めてデザイン力の高い景観が成り立っていた。それは地域の風土が育んだ関係性が、デザインをしているからだ」といった。戦後日本が作り上げてきた価値感は、その関係性を捨て去ることから始まった。その反省もないまま、3・11からの復興も同じフレームで考えようとしている。何とも愚かな話である。この本には、小さなまちの人間力がたくさん詰まっている。日本は一つの国だけど、復興の答えは個々にある。風土が育む関係性の大切さを思う一冊である。
*重松 清著 幻冬社 2012
No.260
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