「TOKYO初夜ものがたり」

2012/06/16(Sat)



「「上京」という言葉には、いまではちょっと古くさい響きがある。野心とか夢とか憧れとか、そういうものを持って若者が地方から東京へとやってくる時代ではもうないのかもしれない。けれども、はじめて都会で一人で暮らすときの、とまどいと希望、さびしさと解放感が入り交じった気持ちは、いまも変わらないのではないだろうか。」本文より。上京の夢かなわず地元に残った身ではあるが、ちょうど同世代の人達の物語である。運命とまで大げさに言えるものではないのかもしれないが、「たら・れば」は、今振り返ってみると、不思議な決断の上にある。青春時代の引き出しをくすぐられる一冊である。

*梯 久美子著 角川書店 2012

No.265

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