「広々とたゆたう川を横目に見て、厩橋を渡るとき、二人はそれぞれの、誰にも言わない物思いをも、向こう岸へと運ぶのだ。橋とは何だろう。ふたつの岸を連結し、こちら側からあちら側へ、人や希望や願いを渡すもの。・・・・・橋とは、常に今いるここを、踏みだし乗り越えていくための装置なのだろう。」本文より。吉田拓郎に「こうき心」という詩がある。一歩踏み出す事を唄ったこの歌は、今でも好きな歌のひとつだ。思いの丈とどう向き合っていくのか、若き素直なエネルギーを眩しく思う一冊である。
*小池 昌代著 角川書店 2012