「巡 礼」
2010/02/24(Wed)
毎月21日になると、年寄りがわんさとやってくる縁日がある。参道の両側には、一日お腹をふくらし土産も買って帰れる出店が軒を連ねる。毎月元気にここまでやってこられることがなによりの楽しみでもあるかのように、年寄りはゆっくりとゆっくりと今を歩いている。人の一生は、長いのか短いのかよくわからないが、家族を思う時、もうちょっと頑張らなくてはな・・・と、ごくごく普通に思ったりする。そんな頑張りのもとが全て無くなってしまった時、自分はどうするのだろう?この物語の主人公のように、ほんの僅かな思い出を大切の守ろうとするのだろうか、途方にくれてばかり居るのだろうか、どんな生き方をするのだろう。皆にゴミ屋敷と呼ばれても「ゴミじゃない・・・」と、彼の一言がやけに切ない一冊である。
*橋本 治著 新潮社 2009
No.135
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