「彼女のいる背表紙」

2010/05/03(Mon)



「また君に恋してる いままでよりも深く、また君を好きになれる 心から」この曲、TVCMに流れ始めた頃から、ちょっと木っ端恥ずかしくもあるが好きなんだな〜と思っていたら、今流行っているらしい。この連れ合いを思う大人のラブソングは、我々の年代になれば誰しも実感としてある。子供も大きくなり、また二人で過ごす時間が多くなってみると、相変わらずつまらない事で喧嘩はするが、相手がどんなパンチを繰り出すかわかっているので喧嘩も腹が立つが面白い。あの曲ほど甘くはないが、出会った時とはまた違う関係が心地良い。本を読む方法にもそんな関係を作り出す再読がある。そこにも読んでみると前とは違った発見がある。この本も作者が今まで読んだ本の中から、主人公や作家、しかも女性に改めて焦点を当てたエッセイである。再会したいろんな境遇の女性は、皆芯がしっかりとした頑張りやの女性だ。こちらまでちょっと励まされたり、どんな人だろうと姿を想像したりで、柔らかな気持ちにさせられる。本の持つ魅力を改めて思う一冊である。
*堀江敏幸著 マガジンハウス 2009

No.150

Takabeya Pocket Card